本指針は、美容医療サービス等の自由診療を行う医療機関のホームページに掲載されている情報を契機として発生するトラブルに対して、適切な対応が求められる事態が生じている状況等を踏まえ、インターネット上の医療機関のホームページ(以下「ホームページ」という。)全般の内容に関する規範を定め、 関係団体等による自主的な取組を促すものである。
医療に関する広告は、国民・患者保護の観点から、次のような考え方に基づき、医療法(昭和23年法律第205号。以下「法」という。)により限定的に認められた事項以外は、広告が禁止されてきたところである。
また、国民・患者に正確な情報が提供され、その選択を支援する観点から、上記の考え方は堅持しつつ、客観性・正確性を確保し得る情報については、広告可能とすることとして順次拡大されてきた。
一方、インターネット等を通じた情報の発信・入手が極めて一般的な手法となっている現状において、美容医療サービス等の自由診療を行う医療機関について、例えば、ホームページに掲載されている治療内容や費用と、受診時における医療機関からの説明・対応とが異なるなど、ホームページに掲載されている情報を契機として発生するトラブルに対して、適切な対応が求められる事態が生じている。
このため、引き続き、原則としてホームページを法の規制対象と見なさないこととするものの、ホームページの内容の適切なあり方について、本指針を定めることとしたものである。
具体的には、国民・患者にとって有用な情報源の一つとなっているホームページ特有の性格等も踏まえつつ、
(1) 本指針は、インターネット上の医療機関のホームページ全般を対象とするものであること。
また、本指針は、原則として、当該医療機関に勤務する医師等が個人で開設する、いわゆるブログ等の内容を対象とするものではないが、当該医療機関のホームページにリンクやバナーが張られているなど、当該医療機関のホームページと一体的に運営されている場合等には、本指針の内容を踏まえ、国民・患者を不当に誘引することがないよう十分に配慮すべきであること。
(2) なお、次の具体例のようなインターネット上の情報については、従来どおり、実質的に医療広告ガイドライン(第二の1)に示す①誘因性、②特定性 及び③認知性のいずれの要件も満たす場合には、法の規制対象となる広告として取り扱うものであること。
(1) 内容が虚偽にわたる、又は客観的事実であることを証明することができないもの
ホームページに掲載された内容が虚偽にわたる場合、国民・患者に著しく事実と相違する情報を与え、国民・患者を不当に誘引し、適切な受診機会を喪失させたり、不適切な医療を受けさせたりするおそれがあるため、ホームページに掲載すべきでないこと。
また、虚偽にわたるものをホームページに掲載した場合等には、医療法 以外の法令により規制され得ること。
なお、ここで掲げるものは例示であって、他の場合であっても本指針の 対象となり得ること(以下同じ。)。
(2) 他との比較等により自らの優良性を示そうとするもの
「日本一」、「No.1」、「最高」等、特定又は不特定の他の医療機関(複数 の場合を含む。)と自らを比較の対象とし、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容等について、自らの医療機関が他の医療機関よりも優良である旨を示す表現は、仮に事実であったとしても、優良性について国民・患者を誤認させ、不当に誘引するおそれがあるものであり、ホームページに掲載す べきでないこと。
また、著名人との関連性を強調するなど、国民・患者に対して他の医療機関より著しく優れているとの誤認を与えるおそれがある表現は、国民・患者を不当に誘引するおそれがあることから、ホームページに掲載すべきでないこと。
(3) 内容が誇大なもの又は医療機関にとって都合が良い情報等の過度な強調
① 任意の専門資格、施設認定等の誇張又は過度な強調
当然の事実等の誇張又は過度な強調や、活動実態のない団体による資格認定の名称、当該医療機関の機能等について国民・患者を誤認させるような任意の名称は、国民・患者を不当に誘引するおそれがあることから、ホームページに掲載すべきでないこと。
② 手術・処置等の効果・有効性を強調するもの
撮影条件や被写体の状態を変えるなどして撮影した術前術後の写真等をホームページに掲載し、その効果・有効性を強調することは、国民・患者を誤認させ、不当に誘引するおそれがあることから、そうした写真等については内容が誇大なものとして取り扱うべきであること。
また、あたかも効果があるかのように見せるため加工・修正した術前術 後の写真等については、上記(1)の虚偽の内容に該当し、医療法以外の法令で規制され得るものであること。(再掲)
③ 医療機関にとって便益を与える体験談の強調
当該医療機関にとって便益を与えるような感想等のみを意図的に取捨選択し掲載するなどして強調することは、国民・患者を誤認させ、国民・患者を不当に誘引するおそれがあるものであり、ホームページに掲載すべきでないこと。
また、国民・患者に謝礼を支払うなどして、当該医療機関にとって便益となるような感想等のみが出されるように誘導し、その結果をホームページに掲載することについても、同様に行うべきでないこと。
④ 提供される医療の内容とは直接関係ない事項による誘引
提供される医療の内容とは直接関係のない情報を強調し、国民・患者を誤認させ、不当に国民・患者を誘引する内容については、ホームページに掲載すべきでないこと。
(4) 早急な受診を過度にあおる表現又は費用の過度な強調
国民・患者に対して早急な受診を過度にあおる表現、費用の安さ等の過度な強調・誇張等については、国民・患者を不当に誘引するおそれがあることから、ホームページに掲載すべきでないこと。
(5) 科学的な根拠が乏しい情報に基づき、国民・患者の不安を過度にあおるなどして、医療機関への受診や特定の手術・処置等の実施を不当に誘導するもの科学的な根拠が乏しい情報であるにもかかわらず、以下のア)~ウ)のように、国民・患者の不安を過度にあおるなどして不当に誘引することは、厳に慎むべき行為であり、そうした内容については、ホームページに掲載すべきでないこと。
ア) 特定の症状に関するリスクを強調することにより、医療機関への受診を誘導するもの
イ) 特定の手術・処置等の有効性を強調することにより、有効性が高いと称する手術等の実施へ誘導するもの
ウ) 特定の手術・処置等のリスクを強調することにより、リスクが高いと称 する手術等以外のものへ誘導するもの
(6) 公序良俗に反するもの
わいせつ・残虐な図画・映像、差別を助長する表現等の公序良俗に反する内容については、ホームページに掲載すべきでないこと。
(7) 医療法以外の法令で禁止されるもの
ホームページへの掲載に当たっては、次の1から4までに例示する規定を 含め、関連の他法令等も併せて遵守すること。
① 薬事法(昭和35年法律第145号)
例えば、薬事法第66条第1項の規定により、医薬品・医療機器等の名称や、効能・効果、性能等に関する虚偽・誇大広告が禁止されている。また、同法第68条の規定により、承認前の医薬品・医療機器について、その名称や、効能・効果、性能等についての広告が禁止されており、例えば、そうした情報をホームページに掲載した場合には、当該規定等により規制され得ること。
② 健康増進法(平成14年法律第103号)
例えば、健康増進法第32条の2の規定により、食品として販売に供する物に関して、健康の保持増進の効果等について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をすることが禁止されてお り、例えば、そうした情報をホームページに掲載した場合には、当該規定 等により規制され得ること。
③ 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)
例えば、不当景品類及び不当表示防止法第4条第1項の規定により、役 務の品質等又は取引条件について、一般消費者に対し、実際のもの又は事実と異なり競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示等(以下「不当表示」という。)が禁止されており、例えば、不当表示に当たるものをホームペー ジに掲載した場合には、当該規定等により規制され得ること。
④ 不正競争防止法(平成5年法律第47号)
例えば、不正競争防止法第21条第2項の規定により、不正の目的をもって役務の広告等にその役務の質、内容、用途又は数量について誤認させるような表示をする行為等が禁止されている(同項第1号)ほか、虚偽の表示をする行為が禁止されており(同項第5号)、例えば、上記4(1)の虚偽の内容に当たるものをホームページに掲載した場合には、当該規定等により規制され得ること。
(1) 通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項
自由診療は保険診療として実施されるものとは異なり、その内容や費用が医療機関ごとに大きく異なり得るため、その内容を明確化し、料金等に関するトラブルを防止する観点から、当該医療機関で実施している治療等を紹介する場合には、治療等の名称や最低限の治療内容・費用だけを紹介することにより国民・患者を誤認させ不当に誘引すべきではなく、通常必要とされる治療内容、平均的な費用や治療期間・回数を掲載し、国民・患者に対して適切かつ十分な情報を分かりやすく提供すること。平均的な費用が明確でない 場合には、通常必要とされる治療の最低金額から最高金額までの範囲を示す などして可能な限り分かりやすく示すこと。
また、当該情報の掲載場所については、当該情報を閲覧する者にとって分かりやすいよう十分に配慮し、例えば、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点・長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用することは控えること。
(2) 治療等のリスク、副作用等に関する事項
自由診療に関しては、その利点や長所のみが強調され、そのリスク等についての情報が乏しい場合には、当該医療機関を受診する者が適切な選択を行えないおそれがあるため、利点等のみを強調することにより、国民・患者を誤認させ不当に誘引すべきではなく、国民・患者による医療の適切な選択を支援する観点から、そのリスクや副作用などの情報に関しても分かりやすく 掲載し、国民・患者に対して適切かつ十分な情報を提供すること。
また、当該情報の掲載場所については、上記(1)と同様、当該情報を閲 覧する者にとって分かりやすいよう十分に配慮すること。
(注)ここでいう「自由診療」とは、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和 57年法律第80号)第7条第1項に規定する医療保険各法及び同法に基づく療養等の給付並びに公費負担医療に係る給付(以下「医療保険各法等の給付」という。)の対象とならない検査、手術その他の治療の方法をいう。
また、「保険診療」とは、例えば、診療報酬の算定方法(平成20年厚生 労働省告示第59号)に規定する検査、手術その他の治療の方法等、医療保険各法等の給付対象となる検査、手術その他の治療の方法をいう。
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